紅白衣装に魅せられて
2010-11-07


「我が国で用いる『鬼子』とはどんな意味だか知ってるよな」
 私は秘書のヤンに尋ねる。最近、N国との国交がギクシャクして困っている。
「はい、相手国を侮辱する言葉です」
 そうだ、鬼子とは相手国を蔑称する言葉。最近、我が国民がN国のことを『N国鬼子』と叫びながらデモを繰り返している。
「しかし、それを見たN国がどんな反応を示したか知ってるか?」
「さあ。抗議の声を挙げたとか?」
 ヤンは首をかしげる。
「それがだな、『N国鬼子』という萌キャラを募集してるんだよ」
 普通、侮辱されたら抗議をするのが普通だ。それをN国では、鬼の女の子をモチーフとした萌えキャラ作りに精を出しているという。
「異民族の考えることは理解できんですな」
「N国から流出してきた映像を見たのだが、これがなかなか可愛いのだよ。ちょっとツンデレっぽくてな」
「首相! ダメです。これはN国の策略です」
 策略と言われても可愛いものは仕方が無い。実は私は、N国で言う『萌え』に弱いのだ。
「そうだ、ヤン。N国の策略と言えば、N国特有の紅白の特殊衣装が我が国民を虜にしているという噂を聞いたが、それはどんな衣装なんだ?」
「はい。かなり特殊な衣装です。少し破廉恥なので、首相は見ない方が良かろうかと」
「しかし国民が虜にされているという衣装は気になるぞ。その映像もN国から流出していないのか?」
「申し訳ありません。実は私もすっかり魅せられてしまい、その画像を携帯に入れて密かに見ているのです」
 謝罪しながらヤンは携帯を開いて私にその画像を示す。
 それは、白い体操着に赤いブルマーをはいた女子高生の画像だった。


一時間で書く即興三語小説
▲お題:「流出」「異民族」「紅白」
[即興三語小説]

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